グルタミン酸とうま味の関係とは? ― おいしさの科学を探る
「うま味(うまみ)」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。これは、甘味・塩味・酸味・苦味に続く「第5の味覚」として認められている、れっきとした味のひとつです。
そして、このうま味を代表する成分がグルタミン酸。今回は、このグルタミン酸とうま味の関係について、やさしく解説していきます。
グルタミン酸って何?
グルタミン酸とは、アミノ酸の一種で、たんぱく質を構成する成分です。私たちの体内にも存在し、昆布やトマト、チーズなど、自然界にも広く含まれています。
このグルタミン酸が、舌の上にある「うま味センサー(受容体)」に触れると、人は「うまい!」と感じるのです。
うま味の正体 ― 舌で感じるおいしさ
うま味とは、言い換えれば「だしの味」ともいえるでしょう。和食の基本である昆布だしに含まれるのが、まさにグルタミン酸。
実際、1908年に池田菊苗博士が、昆布からグルタミン酸を取り出して「うま味成分」として世界に紹介したことが、うま味研究の始まりとされています。
グルタミン酸×イノシン酸の相乗効果
グルタミン酸だけでもうま味は感じられますが、動物性のうま味成分である「イノシン酸」と組み合わせると、さらに強いうま味が生まれます。
例えば、「昆布だし+かつお節」のような組み合わせは、この2つの相乗効果で、より深く濃厚な味になります。
グルタミン酸が豊富な食材
- 昆布
- トマト
- チーズ
- 醤油
- 緑茶
グルタミン酸ナトリウムとは?
さらに、グルタミン酸にナトリウムを加えた「グルタミン酸ナトリウム(MSG)」という化合物もあります。聞いたことがある方も多いかもしれません。
- 水に溶けやすく
- 味が安定しやすく
- 加工食品や調味料に使いやすい
という特徴から、うま味調味料(いわゆる「味の素」など)として広く使用されています。
まとめ
グルタミン酸は、うま味を感じるための鍵となるアミノ酸。私たちの味覚において「おいしさ」を形作る重要な成分です。
昆布だけでなく、トマトやチーズにも含まれており、和洋問わず世界中の料理に欠かせない存在。
次に料理を味わうとき、「これはどんなうま味なんだろう?」と意識してみると、もっと食の世界が面白く感じられるかもしれません。