ホタテやアサリの“あの旨さ”の正体――うま味成分「コハク酸」とは?
「貝の味噌汁って、なんであんなに美味しいんだろう?」
そんな疑問を持ったことがある方も多いかもしれません。その“美味しさの正体”こそが、うま味成分のひとつ「コハク酸」です。
この記事では、コハク酸の特徴や、どんな食品に多く含まれているのか、他のうま味成分との違いなどをわかりやすく紹介します。
コハク酸ってなに?
コハク酸(英語では「Succinic acid」)は、貝類のうま味のもととなる天然の有機酸のひとつ。ホタテやアサリ、シジミなど、海の貝類に特に多く含まれており、まろやかでコクのある味わいを生み出します。
有機化学を学んだことがある人なら、HOOC–(CH₂)₂–COOH というコハク酸の構造式を見て、カルボン酸の一種であるということがわかるでしょう。
どんな食品に含まれている?
代表的なコハク酸の多い食品は以下のようなものがあります。
- ホタテ
- アサリ
- シジミ
- ハマグリ
特に加熱調理することでコハク酸が溶け出しやすくなり、スープや煮汁にうま味がしっかり出てくるのが特徴です。
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他のうま味成分とどう違うの?
実は、うま味成分にはいくつかの種類があります。比較するとそれぞれの特徴がよくわかります。
成分名 | 主な食品 |
---|---|
グルタミン酸 | 昆布、トマト、チーズ |
イノシン酸 | 鰹節、肉、干し椎茸 |
コハク酸 | ホタテ、アサリなど貝類 |
コハク酸は、貝類特有の旨さを引き出す役割を持っており、他の成分と組み合わせることで、さらに味に深みを加えることができます。
味の相乗効果でさらに美味しく
うま味成分は組み合わせることで、味が何倍にも強く感じられることが知られています。これを「うま味の相乗効果」と呼びます。
たとえば
このように、異なるうま味成分をうまく組み合わせることで、料理が一段と美味しくなるのです。
まとめ
- コハク酸は貝類に多く含まれるうま味成分。
- 味にコクとまろやかさを与え、他の成分と組み合わせることでうま味が増す。
次にアサリやホタテの味噌汁を飲むときは、ぜひ「これがコハク酸か…」と少し意識して味わってみてくださいね。